KUSHIBIKI kouhei blog

音のことや、音楽、映画、アート、日常についてつらつらと書いてみます

野唄について、Murderer's Home(人殺しの家)

ブログを何度もはじめたいと思いつつ、随分時間が経ってしまった。

 

今回は先日手に入れたCD「NEGRO PRISON BLUES AND SONGS  by Alan Lomax」の曲の一部を紹介してみようと思う。

 

アメリカで民族音楽の録音をしていった蒐集家アラン・ローマックのミシシッピーとルイジアナの州刑務所での歌の録音が全23曲収録されている。

NEGRO PRISON BLUES AND SONGS by Alan Lomax

今日は1曲目に収録されているMurderer's Home(人殺しの家)について紹介しようと思う。

Ain't got long, o mama
Ain't got long, I ain't got long,
Lord, I ain't got long in the murder's home
Pray for me, ah, o mama,
pray for me, pray for me.
Lord, I got a long holdover, and I can't go free

 

もう長くはないよ、おまえ、もう長くはない、おれはもう長くはない。
ああ、この「人殺しの家」にいちゃ、もう長くはない。
おれのために祈ってくれ。祈ってよな、おまえ、祈っておくれよな。
ああ、長い刑をくらって、おれは自由の身にはなれねぇんだ。

ロックを生んだアメリカ南部-ルーツミュージックの背景-ジェームス・M・バーダマン、村田薫より

 

この歌の形式は野唄(フィールドハラー)feld hollerと呼ばれる、広大に広がる農園の土地で黒人たちは途方もなく労働した絶望感から生まれた。


繰り返し出てくる"おまえ"というのはパートナーのこと。
刑務所の囚人が刑務所のことを人殺しの家と表現しているのは刑務所の理不尽さや残虐さを物語っているのかもしれない。